ヴァレリー・ポリャンスキー(指揮) ロシア国立交響楽団〈シンフォニック・カペレ〉

ロシア音楽ファン必聴!「三大交響曲」再び

 あの興奮が帰ってくる! 2年前の7月、ヴァレリー・ポリャンスキー率いるロシア国立交響楽団が、チャイコフスキー交響曲第4番・第5番・第6番「悲愴」を1公演で完奏するという、前代未聞のプログラムを引っ提げ、全国で公演を行った。演奏の質は大丈夫? という心配もまったくの杞憂に終わり、細部まで練られた“丁寧な爆演”が毎回展開され、その衝撃と絶賛は記憶に新しい(筆者は特に「悲愴」第1楽章の濃密かつ壮絶な豪演が忘れられない)。
 二度とないと思われたその「三大交響曲」が、今秋また同じコンビで体験できるのだ(11/5)。しかも、大活躍中の宮田大との共演によるドヴォルザークのチェロ協奏曲と、ショスタコーヴィチの交響曲第5番他というプロ(10/28,11/7)も用意されて、同コンビの至芸を存分に満喫できるのも嬉しい。
 「ロシア国立交響楽団」と表記されるオーケストラは2団体あるが、今回はスヴェトラーノフが率いたオケではなく、ロジェストヴェンスキーが音楽監督を務めた「ソビエト国立文化省交響楽団」を前身とする「シンフォニック・カペレ」と呼ばれるオケである。1992年以来25年間音楽監督を務めるポリャンスキーとの一心同体の演奏は充実顕著で、さらに深化した演奏が期待できる。また、ロジェストヴェンスキーもポリャンスキーも同団とショスタコーヴィチの名録音を残していて、今回第5番でその精髄を聴けるのも楽しみ。“これぞロシアオケ!”という体験がしたい人なら、絶対に逃すわけにはいかない。また、2年前の「三大交響曲」をライヴ収録したCD(fine NFレーベル)もリリースされるので、こちらも要チェックだ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2017年11月号より)

2017.10/28(土)14:00 横浜みなとみらいホール
2017.11/5(日)13:00 サントリーホール
2017.11/7(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:テンポプリモ03-3524-1221 
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