ヒップホップでワーグナー?!
KAAT神奈川芸術劇場がこれまでにない、まったく新しい形でワーグナーを上演する。構成・演出は、既存の枠組みを超えたプロジェクトを展開する高山明と彼を中心とする創作ユニットのPort B。
《ニュルンベルクのマイスタージンガー》は通常上演時間6時間に及ぶ、ワーグナーのなかでも最も長大なオペラ作品のひとつだが、高山はそれを9日間、計54時間にわたり上演するというから、ただ事ではない。しかも、中世ドイツの街で繰り広げられる歌合戦が下地のオペラを現代のストリートに置き換え、ヒップホップの4大要素であるDJ/ラップ/ブレイクダンス/グラフィティで展開するというのだ。
期間中、劇場ではワーグナーのライトモティーフを用いて作成されたDJによるオリジナルトラックをベースに、日本語ラップのアーティストたちが即興で歌うほか、ファッションショーやレクチャー、ワークショップなども行われる。
「演劇とは何か」という問いを発し演劇の可能性を追求し続ける高山が、オペラに革命を起こしたワーグナーにどう対峙するのか、注視したい。
文:唯野正彦
(ぶらあぼ2017年10月号から)
2017.10/20(金)〜10/28(土)KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
問:チケットかながわ0570-015-415
http://www.kaat.jp/