サントリーホールがリニューアルオープン

 今年の2月から7ヵ月間にわたり全館改修工事を行っていたサントリーホールが、9月1日にリニューアルオープンを迎える。それに先立ち、報道関係者を対象とした内覧会が8月29日に行われた。
(2017.8.29 サントリーホール Photo:M.Otsuka/Tokyo MDE)

会見から 左より)市本徹雄(サントリーホール総支配人)、堤 剛(同館長)

 今回の工事では、大ホール舞台床板の全面張替え、客席椅子の布地・クッションの張替えなどが行われた。美しい響きや会場の雰囲気を守るため、これまでの伝統を継承する形でのリニューアルとなっている。パイプオルガンのオーバーホールは、今回の改修の目玉のひとつ。開館以来初めてパイプを清掃して整音を行い、送風システムなども刷新した。

オーバーホールが行われたリーガー社(オーストリア)のパイプオルガン

 大ホールの女性用トイレが増設されたのは、利用者にとっては嬉しいところ。また、段差のないアプローチを実現したエントランスやスロープが新設されるなど、“ダイバーシティデザイン”への対応が特に意識されている。その他、舞台・客席照明をLED化し、デジタルサイネージやレーザープロジェクターなどの設備も導入。ブルーローズ(小ホール)についても、寄木細工の床板がすべて張り替えられ、客席後方に段差が設けられるなど改修が行われた。
内覧会の模様

 チェリストで館長の堤剛は、「『伝統の継承と革新』を基本コンセプトに、私共の命である音響品質を欠くことなく、かつ時代に即した最新設備を導入しました。“サントリーホールにしかできないこと”、“サントリーホールだからできること”に挑戦していきたい。世界のリーディングホールとして、今後も日本のクラシック音楽文化の発展に貢献し、50年後、100年後にも皆さまに愛されるホールでありたいと思っています」と語った。内覧会の終わりに、鈴木優人がオルガンでバッハとエルガーの作品を披露した。
 再開初日の9月1日に行われる「Reオープニング・コンサート」では、ジュゼッペ・サッバティーニがロッシーニ「ミサ・ソレムニス」を振るほか、恒例の「サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2017」や「チェンバーミュージック・ガーデン」など、リニューアルオープンを祝う、同ホール31年目の意欲的なラインナップが続く。

サントリーホール
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