卓越した技巧と詩情で魅了
ポルトガルとスペインで育ち、マドリード王立音楽院やドイツ・フライブルク音楽大学に学んだ、まさに“音楽的コスモポリタン”と言うべき、異色の経歴を持つピアニストの富永峻。ヨーロッパでの演奏活動を経て2010年に帰国、卓越したテクニックと正統派の演奏スタイルを兼ね備えた名手が、理想的な音響とフルコンサートグランドピアノを備え、洗練の中にも温もりのある小ホールsonoriumを舞台に展開するシリーズ・リサイタルが、3回目を迎える。
今回は、「ドイツとロシア 光と影」がテーマに。ステージ前半では、シューベルト「楽興の時」を核に据えた上で、同じシューベルトの「水車職人と小川」、シューマン「献呈」と2つの名リートを、リストによるピアノ編曲で披露。そして、後半には、ロシアの鬼才プロコフィエフからの“挑戦状”を思わせる、スリリングなテクニックに彩られたソナタ第6番「戦争ソナタ」を置く。富永の実力と表現力が、存分に堪能できるプログラムだ。
また、終演後には、聴衆が参加できるレセプションを予定。素顔のアーティストに触れられる、貴重な機会となろう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年4月号から)
4/2(日)14:00 sonorium
問:カラフネット03-3366-1229
http://shuntominaga.org/