飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

名匠と新鋭、それぞれの熱演に期待

 ラフマニノフのピアノ協奏曲といえば第2番と第3番が定番だが、もちろん第1番もある訳だ。19世紀末、ラフマニノフがまだモスクワ音楽院の学生時代に書き上げたピアノ協奏曲第1番は、初演の評判は良かったものの、作曲者自身にとっては満足のいく作品ではなかったようだ。結局、ピアノ協奏曲第2番・第3番を書き上げた後に大幅に改訂され、その改訂版は1919年1月29日にニューヨークで初演されている。なかなか実演で聴くことが出来ない作品であるが、それを東京シティ・フィルが取り上げる。ピアノは1994年生まれの篠永紗也子。2015年にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ賞、及び東京シティ・フィル賞などを受賞した逸材だ。あえて、ラフマニノフの知名度の低い作品を取り上げる、その意欲を実演で確認してみたい。
 指揮は、東京シティ・フィルの桂冠名誉指揮者である飯守泰次郎。協奏曲の前にワーグナーの《タンホイザー》序曲、そして後半にはベートーヴェンの交響曲第7番を置く。飯守&シティ・フィルのベートーヴェンと言えば、これまでにもベーレンライターの新版やマルケヴィッチ版による全曲の実演・録音があり、このコンビの最も得意とする作品と言って良いだろう。中でも第7番は、ワーグナーが「舞踏の聖化」と呼び、リズムに徹底的にこだわった交響曲として知られている。飯守&シティ・フィルのコンビによるベートーヴェンもここしばらくは無かったので、今回も熱演に期待したい。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ 2017年2月号から)

第48回 ティアラこうとう定期演奏会 3/4(土)14:00 ティアラこうとう
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