Talk Concert 矢沢朋子 Piano+plus

“ハイパーピアニスト”の面目躍如たるプログラム

 桐朋学園大学を卒業後にパリのエコール・ノルマルへ留学、そこで、かのクロード・エルフェに現代音楽の演奏と分析を学んでいることから分かるように、矢沢朋子の出自はいわばオーセンティックなものである。これだけであれば普通の意味での“現代作品を得意とする名ピアニスト”となっていたことだろう。しかし、矢沢が今回敢行する沖縄・那覇の赤田ギャラリーホールでのコンサートのプログラムを眺めてみれば、そこにはドビュッシー、リゲティやアダムス、平石博一と並んでポスト・ロック・バンドの雄であるレディオヘッドの「Kid A」が、あるいはホーキング博士の半生を描いた映画『博士と彼女のセオリー』の音楽でゴールデン・グローブ作曲賞を受賞したヨハン・ヨハンソンの「ピアノとエレクトロニクスのための“Untitled”」などの曲が並ぶ。「ポスト・クラシカル」と一言で表すのはたやすいが、「Kid A」なんぞをチョイスするってことはやはり前衛なのだ。そう、矢沢は“アヴァンギャルドなポスト・クラシカリスト”。11月20日に何かが起こる。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ 2016年11月号から)

11/20(日)16:00 沖縄/赤田ギャラリーホール
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