バースデイとクリスマスをカレーラスと共に祝う
1946年12月5日にスペインはカタルーニャ州のバルセロナで生まれ、1958年に世界屈指の名門オペラハウスである地元のリセウ大劇場に子役デビューを果たしてから、70年代には人気テナーとして頭角を現し、その後はスター街道をまっしぐら。87年に白血病の診断を受け、回復の可能性10パーセントと宣言されるも奇跡的に生還。歌手のキャリアも復活させ、90年代には「3大テノール」のひとりとして世界の音楽シーンを席巻したカレーラス。
その後も活躍を続け、バロックから現代音楽までレパートリーを広げながら、いくつになっても青年のようなひたむきさを感じさせるキャラクターで相変わらずの美声を披露。一方ではライフワークとして自身の名前を冠した「国際白血病財団」の活動にも余念がない。
今年も来日公演が控えているが、今回のリサイタルは彼の記念すべき70歳の誕生日の前日に開催されるとあって、既に日本中のファンが色めき立っていることだろう。予定されているプログラムは、アルバレスの〈祈り〉やマスカーニの〈アヴェ・マリア〉、ストラデッラの〈ピエタ・シニョーレ〉など「スピリット・オブ・クリスマス」のテーマに相応しい聖なる歌が中心。ピアノは89年以来、世界中で伴奏を務めている盟友ロレンツォ・バヴァーイだ。バルセロナ・オリンピック開会式でも披露されたカタロニア民謡〈鳥の歌〉など、カレーラスの出自にまつわる選曲もバースデイ・イヴの夜を盛り上げるに違いない。
文:東端哲也
(ぶらあぼ 2016年11月号から)
12/4(日)19:00 サントリーホール
問:ビザビジョン03-5778-3403
他公演
11/30(水) 愛知県芸術劇場 コンサートホール(中京テレビ事業052-957-3333)