東京オペラシティ B→C 篠崎 孝(トランペット)

気品ある響きで刺激的なプログラムを堪能


 「温かい、音楽的な音」を志向するトランペット奏者…。華麗なイメージの楽器ゆえに、そう聞くと思わず耳にしたくなる。9月の東京オペラシティの『B→C』に登場するのは、大阪フィルの首席奏者・篠崎孝。2008年、洗足学園音楽大学4年時に同ポストを射止め、入団後の12年に日本音楽コンクールで1位を獲得した、才能と向上心を併せ持つ名手だ。
 金管奏者にとって当シリーズで肝となるのがバッハだが、彼はオーボエ・ダモーレ協奏曲を選択。「D管で演奏したら素敵だな」との思いを反映した新鮮な演奏に期待がかかる。現代作品では委嘱新作2曲が意欲の表れ。彼の師であり、効果抜群の曲を生み出すケンツビッチこと津堅直弘、1991年生まれの柳川瑞季の両作いずれも興味深い。「ワウワウミュートの高度な使用、タンギングだけの表現など、予想もつかない世界に迷い込む」マーク・アンドレの作品、ヴァイオリンとの高音競演が刺激的なイウェイゼンの三重奏曲など、他にも注目作が目白押し。気品ある音を、未知の魅力満載の演目と共に体感しよう!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2016年9月号から)

9/20(火)19:00
東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp