R.シュトラウスの華麗なるサウンドに浸る一夜
7月にコルネリウス・マイスター(来年度から首席客演指揮者に就任)、アレクサンダー・リープライヒと立て続けにドイツの若手・中堅指揮者を招聘する読響だが、8月にはさらに、今、ドイツで最も熱い劇場を率いるマエストロ、セバスティアン・ヴァイグレが登場する。
ヴァイグレはもともとシュターツカペレ・ベルリンの第1ホルン奏者だったが、1990年代より指揮活動も開始、バルセロナ・リセウ大劇場の音楽総監督を経て、2008年よりフランクフルト歌劇場の音楽総監督を務めている。読響現常任指揮者のカンブルランがかつて黄金時代を築いたことで知られる歌劇場だが、昨年もドイツのオペラ専門誌で年間最優秀歌劇場に選ばれるなど、現支配人とヴァイグレのコンビの手腕も高く評価されている。
さて、今回ヴァイグレが披露してくれるのは、R.シュトラウスが“音符で描く物語”だ。「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」では、中世のトリックスターが行く先々でみせる他愛のない悪行、そして捕まって縛り首になるまでを小気味よく描写していく。「家庭交響曲」は、妻と子供に囲まれたシュトラウス自身を描いてしまうといういささか露悪的なアイディアで作られている作品。何の変哲もない日常がこの作曲家の手にかかるとゴージャスなシンフォニーに様変わりするのだから不思議だ。ヴァイグレもオーケストラをオペラティックに歌わせてくれるだろう。
前半には「4つの最後の歌」もとりあげられる。2012/13年シーズンまでフランクフルト歌劇場の専属で、現在はMETなど世界の劇場に大きく羽ばたいているソプラノ、エルザ・ファン・デン・ヘーヴァーが登場。ヴァイグレと息の合ったところを見せてくれるだろう。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ 2016年8月号から)
第561回 定期演奏会 8/23(火)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp