“音楽大国”イタリアをテーマに
『草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル』は、古くからの湯治名地として知られる群馬・草津温泉を舞台として1980年にスタートした、日本で最初の夏の講習会とコンサートからなる音楽祭。37回目を数える今夏も、ウェルナー・ヒンク(ヴァイオリン)やペーター・シュミードル(クラリネット)らお馴染みの世界的名手が集結し、若手の指導やコンサートに力を注ぎ、町は湯煙と音楽の響きに包まれる。
今回は「イタリアから、イタリアへ」をテーマに、17世紀以来の音楽先進国であるイタリアを、多角的に捉えてゆく。オープニングでは、メンデルスゾーンが、同地を訪れた鮮烈な印象を投影した交響曲第4番「イタリア」ほかを、ミラン・トルコヴィッチ指揮の群馬交響楽団で披露(8/17)。また、19世紀の宗教作品の傑作であるヴェルディの「レクイエム」の小編成編曲版を、トルコヴィッチ指揮の草津アカデミー合唱団ほかで日本初演する(8/21)。そして、天羽明惠(ソプラノ)ら名歌手たちは、パノハ弦楽四重奏団やヒンクらを伴い、シューベルト「君を知るや南の国」ほか、歌によるイタリア紀行へと聴衆を誘う(8/25)。また、トーマス・インデアミューレ(オーボエ)らは、没後40年の矢代秋雄の佳品に、南国をイメージしたJ.シュトラウスⅡのワルツなどを添えて(8/27)。高橋アキ(ピアノ)らは、生誕150年のサティと、没後20年の武満徹を特集(8/28)。クロージングでは、シュミードルらによるクラリネット三重奏曲など、イタリアを訪れたブラームスが触発されて書いた佳品を中心に聴く(8/30)。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2016年8月号から)
8/17(水)〜8/30(火) 草津音楽の森国際コンサートホール 他
問:草津アカデミー事務局03-5790-5561(8/15まで)/0279-82-5141(8/16〜8/30)
http://kusa2.jp