佐藤祐介(ピアノ)

気鋭のピアニストが新たな地平を切り開く!

 2012年に第10回現代音楽演奏コンクールにおいて第1位と第22回朝日現代音楽賞、さらに聴衆賞を受賞したことをきっかけに、現代曲演奏のスペシャリストとして世界各地で新曲、委嘱作品の演奏を行うピアニスト、佐藤祐介。多くの演奏会を行ってきた彼が、満を持して初めてのCDアルバム『UNLIMITED』を発表する。また同作は、若手アーティストを中心にクラシック界に新風を吹き込む新レーベル「299 MUSIC」(録音研究室(レック・ラボ))の第1弾リリースでもある。
「現代曲はどうしても難しいという印象が強く、なにかと敬遠されがちですが、僕の中では、クラシックとコンテンポラリーというような境界線はありません。聴いていただく方にも、シンプルに楽しんでもらいたい。今回のアルバムもそういったコンセプトから生まれました」
 デビューアルバムは、現代音楽のみならず劇伴音楽でも評価の高い平野義久による作品のみを収録。平野とのコラボレーションに至るにはどんなきっかけがあったのだろう。
「プロデューサーから平野さんをご紹介いただき、作品に魅力を感じたのが第一です。耳に馴染みやすい作品を沢山書いていらっしゃいますが、一方で前衛的な作品も書かれるなど、幅広いスタイルで創作されています。現代音楽を楽しんでもらうためのアルバムを作るにあたり、平野さんに書いてもらえたら面白いものができると思いました」
 CDの冒頭を飾るのは「ピアノソナタ」。衝撃的な響きの和声や緻密なテクニックが重なり合い、力強いファンファーレのような効果を果たしている。
「ソナタという形式は、あらゆる作曲家が気合を入れて取り組んできたジャンルです。平野さんの強い気迫を感じました」
 偶然にも、「ソナタ・マニア」だという佐藤は、新しい作曲家に取り組む際にはまずソナタを見るという。
「平野さんのソナタ形式に対する挑戦を感じました。独特の和音の取り方をはじめ、譜読みはとても大変でしたが、取り組んでいると、自分にそれまでなかった感覚を呼び起こされます」
 佐藤は初演や委嘱作品の演奏が非常に多いが、それと並行して、ドイツ・フランスのバロック音楽や後期ロマン派、チェコの古典派の作曲家の作品を積極的に演奏し、普及に努めている。
「楽譜を集めること、見ることが凄く好きなんです。カタログなどを見て、いいなと思ったものは一気に購入してレパートリーにします。そのおかげで有名無名関係なく沢山の作品に接することができました。このCDでは『宮沢賢治〈銀河鉄道の夜〉に基づく“コント”』やユーモラスな『優雅で感傷的なラジオ体操』なども楽しんでもらえると思います」
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)

CD
『UNLIMITED』
録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9001
¥2800+税 
4/15(金) 発売