キュウ・ウォン・ハン ロマンティック・バリトン・リサイタル

魅惑のヴェルヴェット・ヴォイス

©Yuji Hori
©Yuji Hori

 韓国・ソウル出身の「ロマンティック・バリトン」キュウ・ウォン・ハンの、東京では5年ぶりとなるリサイタルが開かれる。ニューヨークのマンハッタン音楽院で学び、1999年にサンフランシスコ・オペラの《ドン・ジョヴァンニ》(マゼット役)でデビュー。その後も同劇場やヨーロッパの劇場でキャリアを重ねてきた。母国では韓国国営放送の大河ドラマ「大王世宗」の主題歌を歌うなど国民的人気歌手のひとり。日本でも「サントリー 1万人の第九」など佐渡裕との共演を中心に活躍。2008年にエイベックス・クラシックスからデビューCD『この愛を〜イタリアを歌う』をリリースしている。
 韓国人歌手らしい力強いエネルギッシュな歌声はもちろん、やわらかなフレーズを歌うソフトなテクニックも併せ持つ。そのストレスのないなめらかな声はまさにヴェルヴェット・ヴォイス。惚れ惚れするような美しさだ。
 予定曲目は、《椿姫》より〈プロヴァンスの陸と海〉、《カルメン》より〈闘牛士の歌〉、シューマン「献呈」、ベートーヴェン「御身を愛す」、新井満「千の風になって」、いずみたく「見上げてごらん夜の星を」など。ドイツ歌曲からオペラ・アリア、そしてミュージカル・ナンバーから日本のスタンダード・ポップスまで、歌い手としてのキャパシティをたっぷり聴かせてくれそうだ。フランスを拠点にヨーロッパで活躍するソプラノ、齊藤純子が共演。ピアノは榎本潤。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年1月号から)

2016.2/5(金)19:00
浜離宮朝日ホール
問:クリスタル・アーツ03-6434-7997
http://www.crystalarts.jp