クァルテット・ウィークエンド2015-2016 ロータス・カルテット 共演:ペーター・ブック(チェロ)

シューベルト晩年の偉業に浸る稀有の体験

 それはベートーヴェンの「英雄」と「第九」交響曲を同じ公演で聴くようなものかもしれない。来る3月、ロータス・カルテットが、シューベルトの弦楽四重奏曲第15番と弦楽五重奏曲を披露する。これは稀に見る意欲的公演だ。彼らは、日本発祥ながら、20年以上ドイツを本拠に活動する本格派の常設四重奏団。シュトゥットガルトでメロス弦楽四重奏団に師事し、著名なボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール等で入賞後、ドイツの同ジャンルの伝統を受け継ぐ存在として、国際的に活躍している。今回演奏するシューベルトの2曲は、共に最晩年の超大作。宇宙的なスケールと繊細な美しさを湛えた傑作であり、深い精神性と激しいパッションは、シリアスな大交響曲を彷彿、あるいは凌駕するほど凄まじい。弦楽五重奏曲のチェロは、彼らの師である往年の名カルテット、メロス弦楽四重奏団のチェリスト、ペーター・ブック。この師弟共演も心強くかつ興味をそそる。感動的な重量級2曲を世界的陣容で併せて聴くまたとない機会をお見逃しなく!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年1月号から)

2016.3/6(日)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net