南日美奈子(ピアノ)

リストの内面に焦点を当てる

 “ピアノの魔術師”の心に潜む光と陰をたどるステージとなりそうだ。南日美奈子は東京芸大・同大学院を経て、スイス・ジュネーヴ音楽院に学んだ実力派ピアニスト。幅広い分野で活躍を続けているが、特にリサイタルでは、フランツ・リストの内面に焦点を当てている。今回は、華やかな演奏活動から身を引き、苦悩の中で宗教に光を見出そうとした後半生を特集。「古いクリスマスの歌」「ポーランド風」ほか、晩年のリストが孫娘のために作った曲集「クリスマスツリー」からの曲をはじめ、「巡礼の年 第1年スイス」から「ヴァレンシュタットの湖で」、「伝説」から「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」、「バッハのカンタータ『泣き、嘆き、憂い、おののき』とロ短調ミサ『十字架につけられて』の動機による変奏曲」を弾く。さらに、リストと親交の深かったショパンの作品からは「夜想曲第18番」と、望郷の思いを込め、ポーランドのクリスマス・キャロルを忍ばせた「スケルツォ第1番」を添える。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)

12/13(日)14:30 王子ホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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