アンドレアス・シュタイアー プロジェクト9 アンドレアス・シュタイアー plays New York Steinway(1887)

同時代の名器で紡ぐブラームス晩年の名品

©Eric Manas
©Eric Manas

 歴史的鍵盤楽器演奏の第一人者であり、特にフォルテピアノにおいては、表現法とレパートリー、両面から新たな可能性を切り拓いてきたアンドレアス・シュタイアー。そんな名匠がトッパンホールを舞台に展開してきた『アンドレアス・シュタイアー プロジェクト』は、時に個性的な共演者を交えつつ、様々な角度から、歴史的鍵盤楽器の現在と未来を見据えて来た。
 第9弾では、1887年製ニューヨーク・スタインウェイをパートナーに、幻想的なロマン派の森へと分け入る。まずは、このスタインウェイと同時代に書かれたブラームス最晩年の佳品「6つの小品」(1893年)と、シューマン「幻想小曲集」全8曲を、ひとつの大きな枠組みに。ここへ、「楽興の時」から最初の3曲や、2作の「4つの即興曲」のうち、作品90(D899)から第1番、作品142(D935)から第2番と、シューベルトの小品を添える。
 銘器の音色と名匠の豊かな感性、そして、ファンタジーに満ちた名曲の幸せな出逢い。真の音楽のみがもたらす愉悦が、ここにある。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)

12/8(火)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
http://www.toppanhall.com