辻本 玲(チェロ)

若き名手の美音と音楽センスに酔う

©竹原伸治
©竹原伸治

俊英揃いの日本の若手チェリストの中にあっても、特に高い注目を浴びている辻本玲。フィンランドのシベリウス・アカデミーやスイスのベルン芸術大学に学び、ガスパール・カサド国際チェロ・コンクールで第3位入賞などの実績を引っ提げて、今年6月には日本フィルのソロ・チェロ奏者に就任した。ピアノの須関裕子と共演する、今回のリサイタル。辻本が「開放的で若々しい」と評するブラームスの第2番と、「ロシア的な翳りやユーモラスな面を持つ」というプロコフィエフ、ふたつのソナタを柱に。ここへ、バッハの無伴奏組曲から「大らかな音楽」と語る第3番に加えて、「大人の香りを感じる“かっこいい曲”」というカプースチン「ブルレスク」やショパン「ノクターン第2番」、チャイコフスキー「感傷的なワルツ」、カサド「愛の言葉」と小品の花束を添える。「今回は、本格的なソナタと、楽器の多様性を表現する小品で構成した」と辻本。若き名手の美音と音楽センスに酔いしれたい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)

10/28(水)19:00 東京文化会館(小)
問:チケットスペース03-3234-9999
http://www.ints.co.jp