ハンヌ・リントゥ(指揮) フィンランド放送交響楽団


 フィンランドを代表する作曲家シベリウスが今年生誕150周年を迎える。日本にも愛好家の多いシベリウスだけあって、記念企画がいくつも開かれているが、なかでもその白眉となりそうなのが、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団によるオール・シベリウス・プログラム。母国の名門オーケストラでシベリウスの代表作を聴けるのは大きな喜びだ。曲は交響詩「フィンランディア」、ヴァイオリン協奏曲(独奏:諏訪内晶子)、交響曲第2番。名曲がそろった。
 フィンランド放送交響楽団は1927年の創立。2013年にハンヌ・リントゥが首席指揮者に就任した。これまでに同楽団の首席指揮者を務めたのはパーヴォ・ベルグルンド、オッコ・カム、レイフ・セーゲルスタム、ユッカ=ペッカ・サラステ、サカリ・オラモら。いずれもフィンランド出身の世界的指揮者だが、自国の指揮者だけでこれだけの名前が並ぶフィンランド人指揮者の層の厚さにも驚かされる。ハンヌ・リントゥもフィンランド人として、これら名指揮者の系譜に名を連ねる。
 指揮者もオーケストラもシベリウスを知り尽くしている。となれば“伝統の力”で演奏は容易なものと思いがちだが、リントゥは「自分のシベリウスをオーケストラに受け入れてもらうのに半年かかった」とか。伝統とは過去の再生産ではなく、絶え間ない創造から生まれてくるものなのだろう。
 彼らが生み出す「シベリウスの今」を聴いてみたい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

11/4(水)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp

他公演 11/2(月)すみだトリフォニーホール(03-5608-1212)、11/3(火・祝)静岡グランシップ(中)(054-289-9000)、11/6(金)周南市文化会館(0834-22-8787)、
11/8(日)ザ・シンフォニーホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)