豪華キャストで蘇る幻のオペラ
《オリンピーアデ》は、イタリア・バロックで眩い輝きを放った夭折の天才作曲家ペルゴレージが25歳の時に作曲した、知られざる傑作オペラ。古代ギリシャで開かれたオリンピックを背景に、愛や友情、打算が生む後悔、そして救済を描く。20周年を迎えた紀尾井ホールが、幸田浩子や林美智子ら人気歌手陣を迎えて、この作品をセミ・ステージ形式で日本初演。5年後のオリンピック開催に向けて機運が高まる中、大注目の上演となる。
同作は1735年、ローマで初演。物語は、都市国家の僭主クリステーネが、オリンピックの祭典競技の優勝者に、自身の娘アリステアをめとらせる、と決めたことに始まる。人知れずアリステアと愛し合うアテネの青年メガークレは、これを知らず、親友リーチダの身代わりとして、競技へ参加することに。ここへリーチダの恋人アルジェーネの存在も作用し、やがて真実の愛が導き出される。ピエトロ・メタスタージオによるこの台本は、大きな評判を呼び、ヴィヴァルディをはじめ、60人以上の作曲家が競作した人気作品だった。
今回は、幸田(アリステア)と林(アルジェーネ)、吉田浩之(クリステーネ)、澤畑恵美(リーチダ)、向野由美子(メガークレ)をはじめ、望月哲也や彌勒忠史ら、人気・実力ともに申し分のない豪華キャスト。チェンバロで通奏低音も担当する河原忠之が指揮し、ヴァイオリンの石田泰尚がリーダーを務める特別編成の紀尾井オペラ・アンサンブルと共にバックアップ。洗練された舞台創りで知られる、粟國淳が演出する。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)
10/6(火)18:30、10/8(木)18:30 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp