及川浩治(ピアノ)

音楽への愛を多くの人と共有したい

©Yuji Hori
©Yuji Hori

 鋭敏な感性と情熱的な演奏で、ファンを魅了してやまないピアニスト・及川浩治。1995年のサントリーホールでの正式デビューから20周年を迎え、同ホールでの記念リサイタルが9月に開かれる。「山あり谷ありの20年だった」と振り返る及川。なかでも「体調を崩した2009年は、活動を休止せねばならず地獄を見た。多くの方に支えられて半年後に復活を果たすことができたことは、感謝してもしきれません」。今、自分は生かされ、弾かせてもらえる喜びに満ちている。音楽への愛をさらに多くの聴衆と共有したい、と熱い想いを伝えてくれた。
 1曲目は、復活リサイタルの最後に演奏したリストの「ダンテを読んで」。「原点に立ち返る気持ち」でスタートする。ショパンの作品からはノクターンの第10番・第16番を選んだ。ノクターンは、ショパンが部屋の中で自分一人のために弾いているイメージがあるという。「一人ひとりのお客様と対話するような気持ちで弾きたいです」。及川に「ピアニストになりたい!」という憧れを与えてくれたのはラフマニノフだ。「自作自演の録音は、表現力の幅に驚かされます。彼のソナタ2番は10代で初挑戦した国際コンクールで優勝した思い出の曲です」。リスト、ショパン、ラフマニノフ。「この3人がいなければ現代のピアノ音楽の歴史はなかった」と及川は言う。彼らへの敬愛、そして自身の関わる全ての人々に感謝を込めてステージに立つ及川。その音楽にしっかりと耳を傾けたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

9/20(日)14:00 サントリーホール
問:チケットスペース03-3234-9999
http://www.ints.co.jp
※他のデビュー20周年記念公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.koji-oikawa.com