【CD】ピアノリサイタル2~哀愁と情熱のロシア音楽~/権田晃朗

 活発な演奏はもちろん、後進の指導など幅広く活動を展開しているピアニストの権田晃朗。前作の“癒し”をテーマに楽曲を集めたショパン・アルバムからわずか1年で第2弾のCDをリリースした。前回と同様、今回もライブ録音となっているが、収録曲は大きく変わり、ロシアの音楽が選ばれている。スクリャービンやラフマニノフのピアノソナタをはじめ、チャイコフスキー=プレトニョフの「くるみ割り人形」など超絶技巧作品が中心だ。彼はそれらを鮮やかに弾きこなしているのはもちろん、各曲の世界観を大切にする姿勢が強く感じられる。改めて権田の表現力の幅広さを実感するアルバムである。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2025年11月号より)

【information】
CD『ピアノリサイタル2~哀愁と情熱のロシア音楽~/権田晃朗』

チャイコフスキー:「四季」より、「くるみ割り人形」より(プレトニョフ編)/スクリャービン:ピアノソナタ第5番/ラフマニノフ:幻想的小品集より、ピアノソナタ第2番(1931年版) 他

権田晃朗(ピアノ)

収録:2024年11月、Hakuju Hall(ライブ)
ナミ・レコード
WWCC-8038 ¥3300(税込)


長井進之介 Shinnosuke Nagai

国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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