
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席客演指揮者の藤岡幸夫が同楽団の50周年記念特別演奏会「シンフォニック・ポップス・ナイト」(10/10、東京オペラシティ コンサートホール)を指揮する。藤岡は総監督・首席指揮者を務める関西フィルハーモニー管弦楽団で長年ポップス・コンサートを指揮し、人気企画に育ててきただけに、今回の東京シティ・フィルとの公演に向けた気合いはひとしおだ。
「東京シティ・フィルの首席客演指揮者に就任したときから、ポップス・コンサートをやりたいと思っていました。こういうコンサートこそ、そのオーケストラの指揮者が振るべきだと思います。関西フィルで25年間続けてきて、ファンがすごく増え、大人気のコンサートになりました。ポップス・コンサートは新しいファンを生み出す可能性のある企画なのです」
コンサートの前半では、「宇宙戦艦ヤマト」、「マイ・ウェイ」、ポール・モーリアの「オリーブの首飾り」、「エーゲ海の真珠」などのスタンダードな名曲が演奏され、後半には、『スーパーマン』、『ゴッド・ファーザー』、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『ミッション・インポッシブル』などの映画音楽が並ぶ。
「生誕100年のポール・モーリアにはいい曲がたくさんあるからぜひ聴いてほしい。『ひまわり』は僕の大好きな映画。『ルパン三世』のテーマ、ABBAメドレーや『アナと雪の女王』メドレーなど、幅広く演奏しますので、家族3世代で楽しんでいただけると思います。また、映画のことや僕の恋愛観など楽しいお話もします。普段、クラシックを聴かない人も、東京シティ・フィル、そしてクラシックのファンになってほしいと思います。1回だけの打ち上げ花火で終わらせず、次につなげます。
東京シティ・フィルは、本気度が高く、気合いが凄い。みんな同じ方向を向いて演奏する一体感が素晴らしい。常任指揮者の高関健さんが鍛えたオーケストラだから、しっかりと音が積み上げられていて、確固とした響きがします。ポップスも、圧倒的なパワーで、マーラーやチャイコフスキーのようなサウンドになると思いますよ。東京シティ・フィルの魅力を存分に味わっていただきたい」
藤岡は来年1月8日に行われる50周年記念特別演奏会「三大テノールの宴」(福井敬、村上敏明、笛田博昭が出演)も指揮する。藤岡幸夫と東京シティ・フィルとの新たな展開が楽しみだ。
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ2025年10月号より)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団50周年記念特別演奏会
藤岡幸夫&東京シティ・フィル シンフォニック・ポップス・ナイト
2025.10/10(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
https://www.cityphil.jp

山田治生 Haruo Yamada
音楽評論家。1964年、京都市生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業。雑誌や演奏会のプログラム冊子に寄稿。著書に「トスカニーニ」、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人」、「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方 」、編著書に「戦後のオペラ」、「バロック・オペラ」、「オペラガイド」、訳書に「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」などがある。


