【CD】BAROQUE/ARK BRASS

 フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルは、バロックやルネサンスの作品を盛んに演奏していた。そのレパートリーを日本屈指のブラス・アンサンブルが取り上げる。トランペットの佐藤友紀、ホルンの福川伸陽、トロンボーンの青木昂、テューバの次田心平の名手をコア・メンバーに揃え、ゴージャスに響くユニゾン。装飾音の表現も繊細で、かっちりとしたアンサンブルから作り出される立体的なバランス。新たに編曲したファーナビー作品も新鮮に響く。これらの作品を原曲で耳にすることも増えた現在、ブラス・アンサンブル版が果たした意義もよく伝わってくるはずだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年8月号より)

【information】
CD『BAROQUE/ARK BRASS』

バード(ハワース編):オックスフォード伯爵の行進曲/シャイト(ジョーンズ編):戦いの組曲/ファーナビー:空想・おもちゃ・夢(ハワース編)、ヴァージナルの終わりなき夢(石川亮太編)/ヘンリーVIII世(ハワース編):組曲「棘のないバラ」/アイヴソン編:スザート組曲 他

ARK BRASS

エイベックス・クラシックス
AVCL-84178 ¥3300(税込)


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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