アフィニス夏の音楽祭2025 かがわ

世界の第一線の演奏家とプロの奏者たちによる音楽づくりの過程を体験!

川崎洋介 Yosuke Kawasaki
左:川崎洋介(音楽監督)

 今年も香川に「アフィニス夏の音楽祭」が訪れる。公益財団法人アフィニス文化財団の主催による「国内プロオーケストラ・メンバーのためのセミナー音楽祭」。すでにプロの世界にいる奏者が、世界の名門オーケストラの首席奏者らと共にアンサンブルに取り組み、その過程が公開されるのである。昨年に続き高松市のレクザムホール(香川県県民ホール)を中心に、香川県内各所で開催される。「室内楽セミナー&ワークショップ」「コンサート」「音楽交流プログラム」の3つが音楽祭の柱となる。

アフィニス夏の音楽祭

 指導役となるのは世界各国から集まる招聘音楽家たち。音楽祭の音楽監督は川崎洋介。カナダのナショナルアーツセンター管弦楽団のコンサートマスターを長く務め、近年はNHK交響楽団ゲスト・コンサートマスターにも就任し、その世界水準の力量と情熱的な演奏姿が広く知られるものとなった。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団コンサートマスター、ヘンリック・ホッホシルトも継続して参加して、世界トップ楽団のリーダーの何たるかを示す。彼らを中心とする豪華アーティストたちによるセミナーとコンサートは、自ずと高水準かつ熱気のこもるものになる。

アフィニス夏の音楽祭

 セミナーはほぼ一般公開され、プロが演奏を作り上げていく様子を目の当たりにできる。セミナー参加者の国内演奏家と招聘演奏家たちのディスカッションは、和やかでありながらも真剣勝負。リハーサルから本公演まで、一般のファンも得るものの多い貴重な時間になるだろう。演奏家と地域の方々が共に楽しんで交流を深める「音楽交流プログラム」も各地で開かれ、間近で音楽を楽しむ機会がさまざまに用意されている。

アフィニス夏の音楽祭
室内楽演奏会では、セミナーの成果を披露する

 そういったすべての成果を示す場となるのが「室内楽演奏会」。8月19日と20日の2公演の開催で、19日はブラームスのクラリネット五重奏曲、ゲーゼの弦楽五重奏曲やフランセの八重奏曲など5曲、20日はラヴェルの弦楽四重奏曲といった名曲に、マーフィー「ブルースとエキサイテーションの原理」の本音楽祭のための弦楽九重奏版初演といったユニークな作品も加わる4曲。聴きごたえ抜群のコンサートで、音楽祭を華やかに締めくくる。

文:林昌英
撮影:三浦興一

アフィニス夏の音楽祭ロゴ

アフィニス夏の音楽祭2025 かがわ
2025.8/13(水)〜8/21(木) レクザムホール(香川県県民ホール)、ハイスタッフホール(観音寺市民会館)ほか


【招聘演奏家】
川崎洋介(音楽監督、ヴァイオリン/ナショナルアーツセンター管弦楽団・コンサートマスター)
ヘンリック・ホッホシルト(ヴァイオリン/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団・コンサートマスター)
ユラ・リー(ヴィオラ/南カリフォルニア大学・教授)
クレース・グンナルソン(チェロ/エーテボリ交響楽団 ・ソロチェリスト)
インヒュク・チョウ(クラリネット/漢陽大学・教授)
マルテ・レファルト(ファゴット/フォルクヴァング芸術大学・教授)
ジュリア・パイラント(ホルン/ユタ交響楽団)
ゲスト/吉井瑞穂(オーボエ/東京藝術大学・准教授)

◎室内楽セミナー(聴講可)
8/14(木)~8/18(月)※16(土)は除く レクザムホール(香川県県民ホール)内

◎ワークショップ(聴講可)
8/14(木)、8/15(金)各日16:30 ~ 18:00 レクザムホール(香川県県民ホール)内

◎室内楽演奏会[1]
8/19(火)18:30 レクザムホール(香川県県民ホール)(小)
ベートーヴェン:六重奏曲 変ホ長調 Op.71
ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115
O.ゴリホフ:ラスト・ラウンド
ゲーゼ:弦楽五重奏曲 ヘ短調
フランセ:八重奏曲

◎室内楽演奏会[2]
8/20(水)18:30 レクザムホール(香川県県民ホール)(小)

ベルワルド:七重奏曲 変ロ長調
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
ダヴィッド:弦楽六重奏曲 ト長調 Op.38
K.M.マーフィー:ブルースとエキサイテーションの原理 〈本音楽祭のための弦楽九重奏版/初演〉

◎観音寺コンサート
8/21(木)15:00 ハイスタッフホール(観音寺市民会館)(小)

ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
フランセ:八重奏曲

◎あいうえ音楽会(入場無料、要整理券)※親子で体験できるクラシック入門コンサート
8/16(土)14:00 レクザムホール(香川県県民ホール)(小)
モーツァルト:交響曲第40番(抜粋)、クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622(抜粋)他

問:アフィニス文化財団 03-5797-7135
※その他、無料コンサートやオープンハウスもあり。詳細は下記ウェブサイトをご確認ください。
https://www.affinis.or.jp/summer_j/


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。