読響サマーフェスティバル2015 三大協奏曲

話題の個性派が閃光を放つ、名協奏曲の熱き競演

 8月に見過ごせないのが、恒例の読響『三大協奏曲』。なぜなら今年のソリスト陣が、話題性抜群の注目株揃いだからだ。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾くのは、1999年生まれの服部百音(もね)。10歳から数々の国際コンクールで優勝している彼女は、今年15歳でアシュケナージ指揮のEUユース管と共演した。これは演奏に感心したアシュケナージの招きによるもの。彼女は、イタリアで聴衆と楽団員全員の大喝采を浴び、スイスではスタンディング・オベーションを巻き起こした。メンデルスゾーンはその際の演目ゆえ、ここでぜひ生演奏に触れたい。
 ドヴォルザークのチェロ協奏曲を弾くのは、87年デンマーク生まれのアンドレアス・ブランテリド。14歳で協奏曲デビューを果たした彼は、既にウィーン響やバーミンガム市響など多数の一流オーケストラと共演し、ムジークフェライン、カーネギー・ホールなどでリサイタルを開催。CDもリリースしている。こちらは一線級のキャリアを誇るだけに、その個性をじっくりと味わいたい。
 そしてチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾くのがHJリム。韓国生まれの彼女は、You Tubeを発端に世界で旋風を巻き起こしている超個性派。パリ音楽院を首席卒業後、EMIと契約し、CDデビューとしては異例のベートーヴェンのソナタ全集で、さらに脚光を浴びた。日本でも皆を仰天させた彼女は、チャイコフスキーも弾いてはいるが、奔放でライヴ感満点だけに今度はどうなるのか? 実に楽しみだ。
 バックは下野竜也指揮の読響だから超安心。あとは3人の妙技に興味深く浸ればいい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)

8/21(金)18:30 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp