わが音楽人生ここにあり
巨匠パブロ・カザルスの高弟であり、その精神を今に伝えながら演奏の第一線で疾走を続けてきた、チェリストの平井丈一朗が演奏活動60周年を迎え、記念の演奏会を開く。1957年から5年間、カザルスの薫陶を受けて国際的に活躍し、巨匠からは「私の後継者」と明言された平井。今回のステージでは、自作の幻想曲「和」を、長男・秀明が指揮する特別編成オーケストラの共演を得て、管弦楽伴奏版で世界初演。「カザルス先生はかつて『君は国際人だが、祖国も大切にしなさい』と語ったが、これは、その言葉を具現化した作品。『和』には『日本的』との意味に加えて、平和の『和』も念頭に置いた」と平井は言う。さらに、ピアニストの次男・元喜が加わり、平井がチェロとピアノ、管弦楽のために書いた詩曲「カタロニアの思い出」を披露。また、冒頭にはバッハの無伴奏組曲第3番とドヴォルザークの協奏曲を置き、締め括りには師の愛奏曲「鳥の歌」も。まさに彼と師の音楽人生そのものを、投影したステージとなる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)
7/23(木)19:00 紀尾井ホール
問:インターミューズ・トーキョウ03-3475-6870
http://intermuse.lolipop.jp