都響スペシャル 「名曲の夏」

珠玉の小品集に全力投球

小泉和裕 ©Prague Spring/Ivan Malý
小泉和裕 ©Prague Spring/Ivan Malý

 これは「ありそうでなかった」プログラムではないだろうか。7月19日と20日の2日間連続で開催される小泉和裕指揮都響スペシャル「名曲の夏」は、いわゆる「珠玉の小品」と呼ばれる名曲を集めている。2日間の公演内容はそれぞれ異なり、両日をセット券(2割引)で聴くこともできれば、一公演のみを聴くこともできる。
 19日は、ワーグナー楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲、チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」、スッペ喜歌劇《軽騎兵》序曲、リムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲」他。20日は、J.シュトラウスⅡ喜歌劇《こうもり》序曲、ヴォルフ=フェラーリ歌劇《マドンナの宝石》間奏曲第1番、リスト「ハンガリー狂詩曲」第2番、チャイコフスキー序曲「1812年」他。
 いずれもしばしば演奏される有名曲だが、こうして2日間続けて集中的に演奏されるとなると、よくある名曲コンサートとはずいぶん違った印象を受けるだろう。マーラーやブルックナーといった大曲を得意とする都響が、あえて小品集に全力投球をするといったニュアンスが浮かんでくる。あたかも「小品を軽んじるなよ」といったメッセージが込められているかのよう。
 指揮の小泉和裕はかつて名指揮者カラヤンの薫陶を受けているが、そういえばこれら小品はカラヤン得意のレパートリーでもあった。終身名誉指揮者を務める長年のパートナー都響とともに、作品の真価を知らしめてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)

7/19(日)14:00、7/20(月・祝)14:00 サントリーホール
問:都響ガイド03-3822-0727
http://www.tmso.or.jp