バッハ畢生の大作で記念イヤーを祝う
紀尾井ホールのレジデント・オーケストラ(座付き楽団)として、第一線で活躍するソリストや主要オーケストラの首席級により組織された、紀尾井シンフォニエッタ東京が、今年でホールと共に20周年を迎えた。記念となる特別演奏会では、イギリス古楽界の先駆者であるトレヴァー・ピノックを招いて、バッハ畢生の大作「ロ短調ミサ」を上演する。
紀尾井シンフォニエッタ東京は1995年4月、尾高忠明を音楽監督に迎えて結成。日本有数の実力を持つ室内楽団として、国内各地のみならず、ウィーンなど海外でも公演を行っている。一方、ピノックは72年にオリジナル楽器オーケストラ、イングリッシュ・コンサートを組織し、30年以上にわたって古楽界を牽引。近年はモダン楽器の楽団との共演にも積極的で、首席客演指揮者を務めるモーツァルテウム管をはじめ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管やドイツ・カンマーフィルなどと共演。紀尾井シンフォニエッタ東京へも、2度にわたって客演している。
今回の「ロ短調ミサ」は、澤江衣里と藤崎美苗(以上ソプラノ)や青木洋也(アルト)、中嶋克彦(テノール)、加耒徹(バス)といった実力派の声楽陣に、若手スペシャリストによって構成される合唱団、紀尾井バッハコーアを交えての演奏となる。一昨年6月のライプツィヒでの「クリスマス・オラトリオ」など、これまでにも、たびたびバッハの名演を聴かせてきたピノックだが、なぜか「ロ短調ミサ」の公式録音は1点も存在していない。このため、本公演は、名匠のバッハを堪能する貴重な機会ともなろう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)
7/10(金)19:00、7/11(土)14:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp