10本の弦が織り成す清新な響き
似ているようで遠く、ましてやデュオの機会など滅多にないのが、チェロとギター。そのコラボレーションが、水谷川優子の『チェロリサイタルシリーズ Vol.8』で実現する。
ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院を首席で卒業した水谷川は、現在日本とドイツを拠点に、独奏や室内楽などに加え邦楽をはじめとした異分野とのコラボを行うなど、多彩な活動を展開。豊かな感性と音色が際立つ実力派チェリストとして高い評価を得ている。ギターは鈴木大介。武満徹から絶賛されて以来、現代曲の初演、美術展でのコンサート、斬新なアルバム制作などで注目を集める、新世代の名手だ。プログラムは、響きの交錯が特に興味深い「アルペジオーネ・ソナタ」のほか、パガニーニ、ファリャ、ヴィラ=ロボスなど、この共演に相応しいラテンものがズラリ。さらにはブラジルの巨匠ジナタリの「チェロとギターのためのソナタ」といったレアな曲も生体験できる。二人はモーツァルテウムの同窓生として交流も深い間柄。ここでしか聴けない10弦の“あや=綾・彩”を満喫しよう。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)
6/7(日)14:00 東京文化会館(小)
問:イマジンチケットセンター03-3235-3777
http://www.concert.co.jp