リサイタルにアンサンブル、録音など幅広く活動を展開するヴァイオリニスト伊藤万桜が、5回目となるデュオリサイタルを開催する。ピアノはこれまで共演を重ねてきた、多くのアーティストからの信頼も厚い木邨清華。ドイツとフランスで学ぶなど共通する経験もある両者のコンビネーションは良好、伊藤自身も「特にこの数年はデュオのハーモニーに厚みと深みの手応えを感じています」と自信を深めている。
2月下旬の本公演は「春への憧憬」と題して、ベートーヴェンとルクーのソナタを中心に。ベートーヴェンは優しい旋律美を誇る名曲「スプリング・ソナタ」。ルクーは惜しくも24歳で夭逝した19世紀ベルギー出身の若き天才で、唯一のヴァイオリン・ソナタは儚くも息の長いメロディで、愛好するファンも多い名品。2作の瑞々しい響きは、伊藤の持ち味である澄んだ音色にも通じ合う。イザイ「こどもの夢」「去年の雪」などの小品と共に、冬から春、「桜」の時期を迎えるのにぴったりな時間を。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年2月号より)
木邨清華(ピアノ) 伊藤万桜(ヴァイオリン) デュオリサイタル
春への憧憬—若きベートーヴェンとルクーのソナタ
2025.2/23(日・祝)14:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:MIグループ vnfunmi@gmail.com
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