クリストフ・ジョヴァニネッティは、イザイ弦楽四重奏団やエリゼ弦楽四重奏団で、長らく活躍してきた。青柳いづみことは若い頃から共演があるようで、今回はシューベルト19歳の3つのソナタ。出版時のタイトル「ソナチネ」とも呼ばれる。平易で簡潔だが、シューベルトならではの魅力も多く、この二人はそれをうまく引き出している。第1番冒頭の2つの主題は、この作曲家らしい歌が豊かに流れる。終曲のロンドも快活で楽しい。第2番では劇的な第1主題と柔らかで優しい第2主題の対比がよい。冒頭楽章は前半も後半も反復して、微妙な変化も味わえる。第3番緩徐楽章の意表を突いた転調も面白い。
文:横原千史
(ぶらあぼ2024年11月号より)
【information】
CD『19歳のシューベルト/クリストフ・ジョヴァニネッティ&青柳いづみこ』
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ D384,D385,D408
クリストフ・ジョヴァニネッティ(ヴァイオリン)
青柳いづみこ(ピアノ)
コジマ録音
ALCD-7304 ¥3300(税込)