活躍著しい水野優也と吉見友貴が創る緻密な響き

左:水野優也 ©Yuji Ueno
右:吉見友貴 ©Shigeto Imura

 Hakuju Hallの好評シリーズ「リクライニング・コンサート」にチェロの水野優也とピアノの吉見友貴が登場する。ファン注目の若手旗手2人はこれまでにも共演を重ねており、「吉見さんの音のひとつひとつには明確な意思を感じます。リハーサルの段階から、細かく解きほぐして緻密に音楽を作れるのでとても楽しみです」(水野)、「水野さんの自然でノーブルな音楽は印象的です。音楽に対する高い美意識とストイックさに、いつも感銘を受けます」(吉見)と互いを高くリスペクトしている。

 プログラムは水野の選曲。シューマンの「民謡風の5つの小品」、ブルッフの「コル・ニドライ」、メンデルスゾーンの「ピアノとチェロのためのソナタ第1番」。本格的なドイツ・プロながら、素朴なメロディがふんだんに現れて、リラックスして聴ける作品が並ぶ。ユダヤ教の宗教歌も採り入れた「コル・ニドライ」で心が浄化されてリラックスしたところで、深き淵からいきなり立ち現れてくるようなメンデルスゾーンのソナタ冒頭へ。その部分の“流れ”はこだわりのポイントだ。

 世界で初めてコンサートホールに設置されたリクライニング・シートに身を沈めて楽しむ1時間。身体を倒せることもさることながら、客席を1列おきに使用するので、前後の空間が大きく空いていて、ゆったり感が尋常ではない。いわばビジネスクラス感覚。演奏者のトークも恒例になっていて、アーティストの素顔に触れることができるのもうれしい。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2024年10月号より)

第175回 リクライニング・コンサート 水野優也(チェロ) & 吉見友貴(ピアノ)
2024.12/18(水)15:00 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700
https://hakujuhall.jp