新・福岡古楽音楽祭2024 「バロックの幕開け~イタリア音楽の栄光~」

古楽の魅力をマスタークラスや講座も交え多角的に

左:福島康晴
右:上野訓子

 最前線のソリストや楽団が「作曲者が知っていた当時流」を意識、演目に合わせ楽器や奏法を使い分ける21世紀。ラ・プティット・バンドやバッハ・コレギウム・ジャパンの名手勢など一流古楽プレイヤーたちが、福岡や九州の実力派と豊かな経験を注ぎ込んできた新・福岡古楽音楽祭は、そんな「当時の流儀」を本格的に味わえる絶好の機会だ。

 今年は西洋音楽発展の要・イタリア初期バロックに注目、参加型イベントや無料展示も交え400年前の音楽の素顔を体感できる充実の内容。九州を拠点に全国各地で活躍する中川詩歩や田尻健、イタリア音楽の伝道師たる福島康晴ら声楽陣に加え、数世紀来のファゴットの歴史と演奏に通じた長谷川太郎や木管コルネットの上野訓子ら器楽勢の充実は吹奏楽ファンなどにも響くはず。欧州古楽の学びを伝える岩田耕作の恒例セミナー、パッヘルベル生前の流儀で「カノン」を弾く古楽奏法ワークショップなど、硬軟さまざまな各種講座も興味深い。秋を彩る忘れがたい連休体験がアクロス福岡で待っている。
文:白沢達生
(ぶらあぼ2024年8月号より)

2024.10/12(土)〜10/14(月・祝) アクロス福岡、あいれふホール
問:新・福岡古楽音楽祭事務局 kogaku.fes@gmail.com 
https://www.kogaku.net