ウェールズ弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル Ⅰ~Ⅵ

日本のトップ・クァルテットが現在地をしめす金字塔の全曲演奏

©Satoshi Oono

 毎年6月にサントリーホールのブルーローズで開催されている室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」の柱の一つに、ベートーヴェン・サイクル(ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会)がある。これまで、海外の実力派弦楽四重奏団が招聘され(唯一の例外は2016年のクァルテット・エクセルシオ)、全曲演奏がなされてきたが、今年は、名実ともに日本を代表する弦楽四重奏団の一つとなったウェールズ弦楽四重奏団(﨑谷直人、三原久遠、横溝耕一、富岡廉太郎)がその大役を担う。

 同クァルテットは2006年に桐朋学園の学生により結成された。08年にミュンヘン国際音楽コンクールで第3位に入賞し、一躍注目される。ウェールズ弦楽四重奏団にとって、ベートーヴェンは最も中心的に取り組んできたレパートリーである。17年から20年まで大分市のiichiko総合文化センターで、19年から22年にかけて東京の第一生命ホールで全曲演奏会をひらいてきた。そして、それらに合わせてCDの録音も行い、これまでに6枚がリリースされている。今回のように8日間・6公演で全曲を演奏するというのは、彼らにとって初めての挑戦である。それぞれの演奏会は、初期、中期、後期の弦楽四重奏曲を交ぜて、プログラミングされている。彼らの音楽作りはこれまでの世代のベートーヴェン演奏とは一味も二味も違う。丁寧かつ緻密に作られた新時代の演奏を聴く絶好のチャンスといえる。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年4月号より)

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2024
ウェールズ弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル Ⅰ~Ⅵ

Ⅰ . 2024.6/8(土)18:00  

Ⅱ. 6/9(日)17:00 
Ⅲ. 6/11(火)19:00
Ⅳ. 6/12(水)19:00 

Ⅴ. 6/13(木)19:00 
Ⅵ. 6/15(土)18:00
サントリーホール ブルーローズ(小)
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017 

suntoryhall.pia.jp
※プログラムの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。