セルゲイ・ソボレフ（ピアノ）幻想曲の夕べ

投稿日 2015年1月23日
著者 junko
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　“本当に聴いておくべき演奏家”とは、セルゲイ・ソボレフのようなピアニストのことを指すのかもしれない。ロンドンのオーガナイザーいわく「表面的な華やかさはないが、奥深くいざなう音楽は、当地の熱狂的なリピーターに愛されてきた。まさに、玄人向きのピアニストだ」。モスクワ音楽院やロンドン王立音楽院などに学び、エリザベート王妃国際（入賞）や、チャイコフスキー国際（4位）、スクリャービン国際（3位）、リスト国際（2位）など多くの名門コンクールで入賞。リサイタルやオーケストラとの共演など、ヨーロッパ中を股にかけての活動を展開している。今回の来日リサイタルは、古今の“幻想曲”にスポットを当てて。モーツァルトのハ短調、シューマンのハ長調、スクリャービンのロ短調の3つの幻想曲に、シューベルト「さすらい人幻想曲」とショパン「幻想ポロネーズ」を組み合わせた。小さな、しかし理想的な音響とスタインウェイの名器で紡がれる磨き抜いた演奏を味わえるのは、sonoriumに集まるわずか100人の聴衆のみ。これ以上の贅沢な経験が、他にあるだろうか。
文：笹田和人
（ぶらあぼ＋ Danza inside 2015年2月号から）