『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2024年2月号海外公演情報ページ掲載の情報です]
曽雌裕一 編
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5月は音楽祭公演が非常に多く、一般公演のデータを省略したケースが少なくない。是非、ホームページで補足確認をお願いしたい。
ということで、まずはその音楽祭から。ウィーンの「ムジークフェライン・フェスティバル」。毎年、コンツェルトハウスと持ち回りで主催が交代するウィーン5-6月の定例音楽祭。5月はウィーン・フィルやウィーン響の公演がそのまま音楽祭対象公演となっており、前者はムーティ、ブロムシュテット、ネルソンスと人気指揮者が並ぶ一方、後者の指揮台には評価急上昇中のヨアナ・マルヴィッツが登場する。「ウィーン芸術週間」は、音楽というより舞台パフォーマンス中心の公演にシフトしているが、5月はヘンゲルブロック指揮でモーツァルトのオペラ「皇帝ティートの慈悲」が上演される。注目公演だが、ヘンゲルブロックなのに演奏オーケストラが手兵のバルタザール=ノイマン=アンサンブル&合唱団ではなくカメラータ・ザルツブルクとアルノルト・シェーンベルク合唱団というところが意表を突く。「ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭」でも同じ「皇帝ティートの慈悲」が上演される。こちらは、この音楽祭の芸術監督としてバルトリが健在。もちろん自らもこの「ティート」のほか、「狂乱の一日」と題されたオペラ・ガラにも登場する。
続いてドイツの音楽祭。「ハンブルク国際音楽祭」ではケント・ナガノ指揮のワーグナー「ワルキューレ」、サヴァール指揮の「戦争と平和」と題する「三十年戦争からユトレヒト講和」までの時代を彩った作品が演奏される。ラトルがマーラー室内管を振って演奏するモーツァルトの後期三大交響曲も要注目。「ドレスデン音楽祭」でも、ナガノの「ワーグナー」が上演されるほか、ここでもサヴァールが登場し、ハイドンの「四季」を演奏する。ほかに、ティーレマン=シュターツカペレ・ドレスデン、レヴィットのピアノも注目だが、かつての個性的バリトン歌手トマス・クヴァストホフが、今や名朗読者として「第一次世界大戦の野戦郵便の手紙と日記」を朗読する。もっとも、ドイツ語の朗読公演ではいささか無理があるか…。
ドイツの音楽祭、次は「ハレ・ヘンデル音楽祭」。ハレはいうまでもなくヘンデルの生地。ヘンデル絡みの注目公演が多数行われるが、特にハレ歌劇場で上演されるオペラ公演は、毎年、演奏機会の少ないものも登場して注目度が高い。今年は「ガウラのアマディージ」が演奏される。「ヴィースバーデン国際五月音楽祭」はワーグナーの「リング」公演が定番。「シュヴェツィンゲン音楽祭」、5月はロト指揮のレ・シエクル公演とベルリン古楽アカデミーによるパーセル「アーサー王」が目玉。
イタリアの「フィレンツェ五月音楽祭」はメータ指揮の「トゥーランドット」やムーティ=ウィーン・フィルの公演、メーリ出演の「トスカ」など名匠の登場する公演が並ぶ。チェコの「プラハの春国際音楽祭」も老舗音楽祭。今年は、開幕公演のスメタナ「わが祖国」をペトレンコ指揮ベルリン・フィルが担当するというのが最大の話題。ほかに、フルシャとチェコ・フィルによるスメタナのオペラ「リプシェ」の公演もこの音楽祭ならではの要注目公演。
音楽祭以外では、4月から続くウィーン国立歌劇場での「ローエングリン」(ティーレマン指揮)、ベルリン州立歌劇場の「ドン・ジョヴァンニ」(ミンコフスキ指揮)、ヴィオッティ指揮のシュターツカペレ・ベルリン、ベルリン・フィルは前出のペトレンコ指揮の「わが祖国」のほか、ロトとラトルの指揮するブルックナーの交響曲に注目。ほかに、ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンのフランス音楽プロやドルトムント劇場で上演されるコンヴィチュニー演出のワーグナー「ラインの黄金」、バイエルン州立歌劇場でのバッティストーニ指揮のプッチーニ「トスカ」、チューリヒ歌劇場のモンテヴェルディ「オルフェオ」(ダントーネ指揮)、シャンゼリゼ劇場でのヘンデル2作、等々、挙げたりない公演ばかりで例によって本文の◎印をご参照のほど。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)