夜クラシック Vol.31 エール弦楽四重奏団

世界へ羽ばたく4人の気心知れたアンサンブル

左より:山根一仁、田原綾子、毛利文香、上野通明 ©Hideki Shiozawa

 文京シビックホールの改修工事による休止を経て、2023/24年シーズンに「夜クラシック」が3年ぶりに大ホールに戻ってきた。同企画は、若手からベテランまで、話題の音楽家たちがトークも交えながら、様々な形態による室内楽を繰り広げる人気のシリーズである。1月のVol.31には、新進気鋭の若手演奏家からなるエール弦楽四重奏団が登場する。ヴァイオリンの山根一仁、毛利文香、ヴィオラの田原綾子、チェロの上野通明と、主要なコンクールで優勝するなど輝かしいキャリアを有し、今やひく手あまたの音楽家4人のアンサンブルであるが、その出発は彼らの桐朋学園時代にさかのぼり、既に結成13年を数える。

 音楽家のトークも挟む気さくなスタイルのコンサートでありながら、今回披露されるのは夜クラシックの共通演目であるドビュッシーの「月の光」の他、同じくドビュッシーの弦楽四重奏曲 ト短調とシューベルトの弦楽四重奏曲 ニ短調「死と乙女」という四つに組んだプログラムである。同演目は2021年に予定されていたが、コロナ禍により中止されており、実に3年来の約束の実現ということになる。しかし、その間も若い彼らの成長と活動は留まることを知らず、上野はジュネーヴ国際音楽コンクールで日本人初の優勝という快挙を成し遂げ、毛利はデビュー盤をリリースした。3年前よりもはるかに大きな驚きと楽しみを秘めたコンサートが期待されよう。
文:大津 聡
(ぶらあぼ2024年1月号より)

2024.1/26(金)19:00 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111 
https://www.b-academy.jp/hall/