新日本フィルの2011/12シーズン発表会見

 新日本フィルハーモニー交響楽団は、1月下旬にすみだトリフォニーホールで2011/12シーズン記者発表会を開いた。音楽監督のクリスティアン・アルミンク、「ベートーヴェン・プロジェクト」(2/8〜2/19)などで来日中のフランス・ブリュッヘン、同団ソロ・コンサートマスターの崔文洙らが出席し、「ベートーヴェン・プロジェクト」のリハーサル直後に行われた。同プロジェクトでベートーヴェンの交響曲全曲を指揮するブリュッヘンは「2年前のハイドン・プロジェクトが終わった時から、まったく時間が経っていないように感じます。団員の皆さんの記憶力は素晴らしい」と新日本フィルを賞賛し、リハーサルが順調に進んでいることを報告した。
 「今回、第1番から第9番へと交響曲を番号順に演奏します。それにより、ベートーヴェンの足跡を皆さんとともに辿っていくことができると思います。ベートーヴェンの交響曲には大変面白いパターンがあります。第1番は明らかにハイドンの交響曲を発展させたもので、第2番で少し後ろにさがり、第3番で大きく前進し、第4番でまた少しもどり…という具合に奇数番号で音楽的に前進し、偶数番号で少し後退するのです。また、ハイドンとベートーヴェンの交響曲の共通点として、彼らが常に頭の中に標題音楽とは違った“音楽以外の芸術”からインスピレーションを受けていた、ということもいえるでしょう」
 またベートーヴェンにまつわる面白い“逸話”も披露した。
 「チェリストのスティーヴン・イッサーリスの父親(現在89歳)が5歳の頃、ウィーンで家族がアパートを探している際に年老いた女性の大家に出会ったのです。彼女が部屋を貸す条件として『いつも身体を清潔に保ち、部屋の中で用を足さない、ツバを吐かないことなどを約束してください』と彼らに言ったのです。さらに彼女はこうつけ加えました『ベートーヴェンがそうだったようにね』と。おそらく彼女は当時103歳か104歳だったと考えられます。その部屋はベートーヴェンが最後の2年間を過ごしたアパートだったのでしょう」
 クリスティアン・アルミンクは2011/12シーズンについて以下のように述べた。
 「2012年が新日本フィルの40周年という節目の年ですから、“オーケストラ”を主役に考えてプログラミングを行いました。指揮者陣は、Music Partner of NJPであるダニエル・ハーディング、インゴ・メッツマッハー、ジャン=クリストフ・スピノジ、そして初登場のトーマス・ダウスゴーです。彼は北欧を代表するデンマーク出身の指揮者。かなり前からオファーを出していたのですが、やっと実現しました」
 またアルミンク自身が指揮をするプログラムについて
 「2年前にシュミットの『七つの封印を有する書』を演奏・録音し高評価をいただきましたので、2011/12シーズンではシュミットの交響曲第2番を取り上げます。また、演奏機会の少ないマーラーの『嘆きの歌』も楽しみにしています。オーケストラも合唱も非常に大きな編成ですし、加えてハイドンの交響曲が演奏できるくらいのバンダ(離れた位置で“別働隊”として演奏する小規模のアンサンブル)も必要です。また、ボーイソプラノやボーイアルトといった子供の独唱パートが重要なことも作品の特徴です。新日本フィルの新たなシーズン、ぜひご期待ください」と述べた。
新日本フィルハーモニー交響楽団2011/12シーズン
●定期会員券:5月15日(日)発売
●1回券:9月、10月、12月公演:7月2日(土)発売
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
新日本フィルハーモニー交響楽団