【SACD】武満徹:ギター作品集/荒井一穂

 「フォリオス」冒頭楽章から演奏者の研ぎ澄まされた感性を感じる。フラジオレットが凍てついた冬の夜空の星のように輝く。まるで武満の音感を精密なソナーを使って探り当てていくかのようだ。この曲で予感されていた調性という引力は、「すべては薄明のなかで」をはじめとする後続曲でも働いていて、荒井はその力と戯れながら進んでいく。編曲集「12の歌」になると誰もが知っているヒット曲が思いがけない色使いを施され、洒落た装いで現れる。ここでは武満は原曲を少しずらしているわけだが、それらを訥々と物語る荒井の語り口から、武満がギターという楽器に込めた愛が伝わってきた。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年1月号より)

【information】
SACD『武満徹:ギター作品集/荒井一穂』

武満徹:フォリオス、すべては薄明のなかで—ギターのための4つの小品—、ギターのための小品—シルヴァーノ・ブソッティの60歳の誕生日に—、エキノクス、森のなかで—ギターのための3つの小品—、ギターのための12の歌 他

荒井一穂(ギター)

オクタヴィア・レコード
OVCL-00825 ¥3850(税込)