長谷川陽子&向山佳絵子プロデュース チェロ・コレクション〜バッハへのオマージュ Vol.1

チェロの未来は明るい!


 こんな発想も有り得たか!と快哉を叫びたくなるのが、11月からHakuju Hallで始まる『チェロ・コレクション〜バッハへのオマージュ』、略して「チェロ・コレ」だ。これは、バッハへの敬意と、異世代チェロ奏者の交流を軸とした、未来志向の新シリーズ。長谷川陽子&向山佳絵子プロデュースによる大型企画である。
 デビュー25周年を超えた人気奏者・長谷川陽子、実力派ソリストにしてN響首席奏者・向山佳絵子という同世代の名手二人が組むだけでも興味をそそられるが、さすが内容は妙味充分。
 まず、同楽器の聖典「バッハ:無伴奏チェロ組曲」全6曲の中から毎回1曲を、期待の若手奏者が演奏し、俊才ひしめく日本の次世代チェリストの実力を堪能させる。第1回は、10年のミュンヘン国際音楽コンクールで第2位を受賞した横坂源が登場。既に活躍目覚ましい彼が第1番を弾く。
 また、聖典をモティーフにした新作を毎回異なる編成で委嘱。今回は、センス抜群のマルチな才人・加藤昌則が書いた、第1番に基づくチェロとピアノのための作品を、長谷川と加藤自らが初演する。さらに、未来へ羽ばたく10代の奏者の“たまご世代”も起用し、両プロデューサーらと共に異世代アンサンブルを披露。今回は、11年に全日本学生音楽コンクールで高校の部第1位を獲得し、現在桐朋学園のソリストディプロマコースと学習院大学独文科で学ぶ笹沼樹を交えて、ポッパーの作品や《ローエングリン》《カルメン》の編作ものなど、楽器を熟知した演奏家の名作を聴かせる。
 愉しくも刺激に充ちたこの「チェロ・コレ」、好楽家は全員ご注目あれ!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)

11/11(火)19:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 
http://www.hakujuhall.jp