朴葵姫、2年ぶりの新譜は昨年12月にソウルのJCCアートセンターで行われたリサイタルのライブ録音。音量が大きいわけではなく、かつ極めて繊細なニュアンスの変化を味わいたいギターのソロでライブアルバム? との疑念を覆す大成功の1枚! 細部と全体の響きを二つながらに上手く捉えた優秀録音も相まって、朴の常ながらの精密極まりないピッキングにライブならではの感興の高まりが感じられて圧倒される。シューベルト(メルツ編)の「セレナーデ」における情感の深さ、ディアベリでの多彩な表現、そして難曲ヒナステラでの驚くべき技巧の冴え。ギターファンのみならず聴いていただきたい。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2023年5月号より)
【information】
CD『The Live/朴葵姫』
ファリャ:ドビュッシーの墓にささげる讃歌/シューベルト(メルツ編):涙の讃美、セレナーデ/ディアベリ(ブリーム編):ギター・ソナタ イ長調 第2番/ヴィラ=ロボス:前奏曲第2番、同第3番、ショーロス第1番、エチュード第12番/ヒナステラ:ギター・ソナタ
朴葵姫(ギター)
収録:2022年12月、ソウル(ライブ)
日本コロムビア
COCQ-85605 ¥3300(税込)