日本テレマン協会創立60周年事業 オール・テレマン・プログラム

関西屈指のバロック集団が名手とともに飾る周年公演

 延原武春は1963年、仲間とアンサンブルを結成した。弾く自分たちも楽しく、聴くお客様も愉快になる音楽。延原は自分たちの理想を、バロック音楽の巨匠の内に見出した。ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681〜1767)、その人だ。

 テレマンは18世紀のドイツを中心に活躍した音楽家。ライプツィヒでの学生時代に演奏団体を創設、同地のオペラ座の監督にも就任し、大学教会ではオルガニストとして活躍した。宮廷楽長や都市音楽監督を経験したのち、1721年に大都市ハンブルクの音楽責任者の座に就く。その間、声楽から器楽、独奏曲から大規模管弦楽曲まで膨大な作品を残し、1767年に同地で亡くなった。

 延原のアンサンブルは、このテレマンの名を冠して活動を始めた。それが現在の日本テレマン協会へと成長していく。2023年は創設から60周年の記念の年。“還暦”の字の通り、同協会が“原点・テレマン”にスポットライトを当てるのは当然のことだ。

 4月にはバロック・ヴァイオリンの泰斗で、同協会首席客演コンサートマスターのウッラ・ブンディースをリーダーに迎え、オール・テレマン・プログラムの演奏会を、大阪と東京の2都市で開催する。3つのトランペットとティンパニのための協奏曲など、聴きたくてもおいそれとは聴けない作品の実演に接することができる、とても貴重な機会だ。もちろんそこにも、延原の目指す「楽しさ」がしっかり息づいている。
文:澤谷夏樹
(ぶらあぼ2023年3月号より)

第296回 定期演奏会 
2023.4/18(火)18:30 大阪市中央公会堂 中集会室
第297回 定期演奏会 
4/20(木)18:30 東京文化会館(小)
問:日本テレマン協会06-6345-1046 yoyaku@cafe-telemann.com
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