広瀬美紀子は東京藝術大学大学院を修了後、ソロおよびアンサンブルで幅広く活動を展開するピアニストである。これまでヴィラ=ロボスやグノーなど特定の作曲家に焦点を当てたディスクを多数リリース。今回取り組んだリムスキー=コルサコフでは、「シェヘラザード」や「スペイン奇想曲」、「熊蜂の飛行」の編曲を自ら手掛けるというこだわりぶり。タッチの明瞭さや音色の多彩さといった演奏面はもちろんだが、濃密なオーケストレーションが特徴である同作曲家の作品を、ピアノならではの魅力を引き出す作品に生まれ変わらせた手腕にも驚かされる。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年2月号より)
【information】
CD『リムスキー=コルサコフ:ピアノ作品集 Vol.1/広瀬美紀子』
リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行(歌劇《サルタン皇帝》第3幕 間奏曲)、交響組曲「シェヘラザード」第1楽章 海とシンドバッドの船、スペイン奇想曲(以上広瀬美紀子編)、バッハの主題による6つの変奏曲、3つの小品、マズルカ op.38-2、歌劇《プスコフの娘》第2幕 間奏曲 他
広瀬美紀子(ピアノ)
クァッドリーガ
QR-09005 ¥2500(税込)