トッパンホール エスポワール シリーズ 10 北村朋幹(ピアノ) Vol.2 —室内楽

俊才の新境地&異才の初ソロを一夜で堪能

 北村朋幹は才気溢れるピアニストだ。今年23歳ながら、10代半ばから第一線に立ち、どこか余裕すらも感じさせてきた。その彼が、昨年10月のトッパンホール〈エスポワール シリーズ〉第1回「ソロ」では、自己の限界に迫らんとする渾身の演奏を聴かせた。これぞ若手に飛躍の機会(と責任)を与える当シリーズの妙味。今秋行われる第2回「室内楽」への期待も当然大きい。しかも今回は、彼が共演を切望したドイツのヴァイオリニスト、ダニエル・ゼペックの日本初リサイタルを兼ねる、注目度2倍の公演だ。ゼペックは、アルカント・カルテットやドイツ・カンマーフィル(コンサートマスター)でも活躍する、モダンと古楽両刀の名ソリスト。ベートーヴェンのソナタ第7番&第4番という短調の2曲に、俊英オリヴィエ・マロンのチェロも加わった三重奏曲「幽霊」が並ぶプロも示唆に富んでいる。
「この3曲については、私が大のファンであるゼペックのCDを愛聴している」と語っていた北村の夢叶う喜びとそれゆえの精進、さらには2011年以来ベルリンでの古楽を含めた研鑽と相まって、刮目すべき一夜となる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年8月号から)

10/8(水)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
http://www.toppanhall.com