訃報:若杉 弘氏 新国立劇場オペラ芸術監督

 新国立劇場オペラ芸術監督・同オペラ研修所所長で指揮者の若杉弘氏が、7月21日午後6時15分、都内の病院にて多臓器不全により死去した。享年74歳。葬儀等は近親者の密葬にて執り行われた。
 若杉氏は1935年、東京生まれ。東京芸術大学指揮科を卒業。伊藤栄一、斎藤秀雄、金子登の各氏に師事。卒業後、NHK交響楽団指揮研究員となり、ヨーゼフ・カイルベルト、ロヴロ・フォン・マタチッチ、ヴォルフガング・サヴァリッシュなど世界的な巨匠たちから指導を受けた。指揮者デビューは1963年の東京交響楽団で、1965年からは読売日本交響楽団常任指揮者を務め高く評価された。その後ケルン放送交響楽団、ダルムシュタット歌劇場、ドルトムント歌劇場での活動後、ライン・ドイツ・オペラ音楽総監督、ドレスデン国立歌劇場とシュターツカペレ常任指揮者、バイエルン国立歌劇場指揮者、チューリッヒ・トーンハレ協会芸術総監督・同管弦楽団首席指揮者に就任し、邦人として初の国際的なオペラ指揮者として活躍した。帰国してからもオーケストラ指揮者としてマーラーの交響曲などの演奏で高い評価を受けたが、それと並行してオペラ界の発展に尽力し、東京室内歌劇場芸術監督のほか滋賀県立芸術劇場「びわ湖ホール」の芸術監督を歴任し、ヴェルディのオペラシリーズを成功させている。2007年には新国立劇場オペラ芸術監督に就任した。内外の多くのオペラの国内初演を行った功績も大きく、ワーグナー《パルジファル》《リエンツィ》《ラインの黄金》《ジークフリート》《神々の黄昏》、R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》、ブリテン《カーリュー・リバー》、一柳慧《モモ》などが挙げられる。
 現職は新国立劇場のポストの他に、NHK交響楽団正指揮者(1995年〜)、東京芸術大学名誉教授、桐朋学園大学特任教授、日本演奏連盟理事。芸術選奨文部科学大臣賞、日本芸術院賞などを受賞している。