~亡き恩師 野島 稔氏に捧ぐ~ 藤田真央 ピアノ・リサイタル

恩師ゆかりの地「よこすか」で奏でるカーネギー・デビュープログラム

(c)Dovile Sermokas

 藤田真央が恩師と慕うピアニスト野島稔が、2022年5月にがんのため他界した。76歳だった。東京音楽大学学長であった野島のレッスンを、藤田は17歳から受けていた。「雲の上の存在」と語る恩師と藤田は、長年にわたりさまざまな対話も交わしてきた。音楽家として、人として、多くの学びを授けてくれた野島に深い感謝を込めて、藤田は野島の出身地である横須賀市のよこすか芸術劇場にて、急遽リサイタルを行うことにした。

 この公演には、一つの「報告」も兼ねているという。野島が1970年にデビューしたニューヨークのカーネギーホールにて、いよいよ藤田もリサイタルを行うことになったのだ。この横須賀公演は、カーネギー・デビューのわずか6日前というタイミングになるが、藤田はまったく同一のプログラムを恩師に捧げて演奏する。

 モーツァルトは「9つの変奏曲」K.573およびソナタ第9番ニ長調を取り上げる。リストのバラード第2番ロ短調、ブラームスの「主題と変奏」op.18b(名曲、弦楽六重奏第1番第2楽章のピアノ版)という陰影の深い作品を経て、クララ・シューマンの「3つのロマンス」op.21およびロベルト・シューマンのソナタ第2番を弾く。

 「君のリサイタルを聴きたい」—恩師が電話で伝えた最後の言葉を胸に、藤田はどのような音色を響かせるのだろうか。終演後には、22年の「野島稔・よこすかピアノコンクール」で審査委員長代行を務めた梅津時比古と藤田のトークも行われる。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2023年1月号より)

2023.1/19(木)18:30 よこすか芸術劇場
問:横須賀芸術劇場046-823-9999 
https://www.yokosuka-arts.or.jp