クラシック・ギター界に繁る“大樹”の父たる福田進一が、有望な新人を発掘するシリーズの第7弾。1996年生まれの菅沼聖隆は、本場スペインの第8回セビリア国際ギター・コンクールを21歳の若さで制覇した逸材。本盤は英国ウォルトンと仏国ディアンスで幕を開け、菅沼が実際に旅した南米の国々を巡り、大曲と小品のセットが押し寄せる心躍る構成。特にヒナステラの躍動感あふれるソナタの後、ボリビアのドミンゲスによるアルバム表題曲を即興演奏する流れがシビれる。特製「左利き用ギター」を使用し、堂々たる体躯から繰りだされる豊かな音色に魅了された。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2022年11月号より)
【information】
CD『フェリア/菅沼聖隆』
ウォルトン:5つのバガテル/ディアンス:タンゴ・アン・スカイ/ヒナステラ:ソナタ op.47/ドミンゲス:フェリア/ポンセ:ソナタ第3番、エストレリータ/作曲者不詳:コントラダンサ/ラウロ:ベネズエラ組曲
菅沼聖隆(ギター)
マイスター・ミュージック
MM-4510 ¥3300(税込)