年に一度の共演機会にプーランクの2大宗教曲を
神戸市混声合唱団と神戸市室内管弦楽団の恒例の合同演奏会。今年はプーランクの教会音楽「スターバト・マーテル」と「グローリア」を取り上げる。作曲者晩年の代表作オペラ《カルメル会修道女の対話》とフルート・ソナタの前後に作曲された円熟の筆による傑作である。指揮を執る神戸市混声合唱団音楽監督の佐藤正浩は、パリ・シャトレ座の副指揮者でフランスオペラのスペシャリストであり、プーランクをこよなく愛している。今回のプログラムについて、「宗教音楽でありながら、奇想天外な発想で聴衆を楽しませることを忘れない。生粋のパリジャンらしい上品でユーモアに溢れたセンスや、大衆性を備えたメロディはもっともプーランクらしい作品」と強調する。
ソプラノ独唱の中村恵理は、バイエルン国立歌劇場で数多くの主役を歌い、今や世界中のオペラハウスで引っ張りだこである。彼女が「スターバト・マーテル」の静かな抒情や「グローリア」末尾の神秘的なアーメンをどのように歌うのか楽しみである。プーランクの2大作を一度に聴けるのは滅多になく、上演が待ち遠しい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2022年10月号より)
2022.11/13(日)15:00 神戸文化ホール
問:神戸市民文化振興財団078-361-7241
https://www.kobe-ensou.jp