水戸室内管弦楽団 第110回定期演奏会

新たな時代を築く若き才能の競演

 水戸室内管弦楽団の第110回定期演奏会は、次代を担うふたりの気鋭を迎えて、オール・モーツァルト・プログラムが組まれた。ひとりはフルートのセバスチャン・ジャコー、もうひとりはピアノの藤田真央。今もっとも注目される豪華ソリストたちが登場するとあって人気を呼びそうだ。

 今秋より水戸室内管の正メンバーとなるセバスチャン・ジャコーは、先頃ベルリン・フィルの新首席奏者に選ばれたというビッグニュースが話題になったばかり。1987年ジュネーヴ生まれで、2013年の神戸国際フルート・コンクールで第1位を獲得。これまではライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の首席奏者を務めていた。今回演奏するのはフルート協奏曲第1番。「フルート界のロックスター」とも呼ばれるジャコーだが、どんなモーツァルトを披露してくれるだろうか。

 2019年にチャイコフスキー国際コンクール第2位を獲得して以来、着実に活躍の場を広げる藤田真央は、近年とりわけモーツァルトに力を入れて取り組んでいる。ソニークラシカルとはモーツァルトのピアノ・ソナタ全集のリリースでワールドワイド契約を結んだ。今回演奏するのは名曲中の名曲、ピアノ協奏曲第23番。あたかもモーツァルトその人になりきったような天衣無縫の名演を期待できそうだ。

 もちろん、水戸室内管による交響曲第40番も大きな聴きものとなる。精鋭たちが集う一期一会のモーツァルトが、忘れがたい体験をもたらしてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年10月号より)

2022.10/28(金)19:00、10/29(土)15:00 水戸芸術館コンサートホールATM
問:水戸芸術館チケット予約センター029-231-8000 
https://www.arttowermito.or.jp