浜離宮アフタヌーンコンサート 風ぐるま ~時代を越えて音楽の輪を回す~

バロックから現代まで、独自の“ことば”で綴る唯一無二の世界観

 2012年結成。幅広いレパートリーでキャリアを重ねるメゾソプラノの名手・波多野睦美と、日本を代表するコンポーザー・ピアニストの高橋悠治、多彩な活動を展開しているバリトン・サクソフォン奏者の栃尾克樹という逸材が集まり、中世・バロックのクラシック曲からオリジナル作品まで「時代を越えて音楽の輪を回す」魅惑のステージが再び。この3人組がよくあるアンサンブルなどでないことは、過去の公演やこれまでにリリースされた2枚のアルバムからも明らか。言葉や歌詞に対する執拗なまでの“こだわり”は時に、朗読劇のようなスタイルで音楽世界を完成させる。例えば、麻酔のない時代の膀胱結石手術の恐ろしい情景をピアノに乗せた、いななくバリトン・サクソフォンと日本語(高橋訳)の語りで綴るマラン・マレ(1656〜1728)作品の編曲ものもユニークだが、同じく1stアルバム収録の高橋作品〈六番の御掟について〉にも乞うご期待…同作では1600年頃日本にいた宣教師が書いた「コリャード懺悔録」からインスパイアされた辻征夫の詩(ほとんど腐れ縁の男女の会話劇)と、原文の九州弁によるテキストが歌われる。他にも、第一次世界大戦の後遺症で後半生を病院で過ごした作曲家で詩人のアイヴァー・ガーニーが、戦場でバッハの前奏曲を思い出している歩哨を詠んだ〈バッハと歩哨〉に作曲した作品なども必聴。この美しくも刺激的な世界をぜひ体験してみるべき!
文:東端哲也
(ぶらあぼ2022年9月号より)

2022.10/18(火)13:30 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/