廣瀬心香 ヴァイオリン リサイタル

モダンなセンスと名技が光る意欲的なプログラム

 近年ドイツから東京に拠点を移したヴァイオリニスト廣瀬心香。桐朋学園大学を首席卒業、ドイツ国立ベルリン芸術大学学士課程、修士課程共に最高位で修了。同時期にベルリンで学んだ3人で2019年に結成した「トリオ・ヴェントゥス」(廣瀬、チェロ鈴木皓矢、ピアノ北端祥人)はリサイタルやアルバムが好評を博し、最近は鈴木らと「エウレカ・カルテット」も結成、いま充実の活動を展開している俊才だ。

 その廣瀬が9月、ピアノの坂本彩とともに待望のリサイタルを開催する。しかもフォーレのソナタ第1番、シューベルトのロ短調の「華麗なるロンド D895」、バルトーク無伴奏ソナタ、ラヴェルのソナタ第2番という、楽器の可能性を追求するような濃密なプログラムで、強い意気込みが感じられる。どの曲にも注目すべきポイントがあるが、特に後半バルトークとラヴェルでは20世紀に到達した表現の幅と高みを一望できよう。廣瀬の凛とした美音と深まりを見せる表現で、ヴァイオリン芸術の凄みを体感する一夜となる。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年9月号より)

2022.9/9(金)19:00 古賀政男音楽博物館 けやきホール
問:トリオ・ヴェントゥス trioventus03@gmail.com
https://www.trioventus.com